暮らしや産業社会を支える「HFC」
空調用の冷媒や
洗浄用の溶剤として、
私たちの暮らしや産業社会を支える製品群
「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」

「特定フロン」はかつて、その優れた特性から、空調用冷媒などをはじめ幅広い用途でグローバルに使用されていました。ところが「特定フロン」には、オゾン層を破壊するという環境問題を引き起こすことが判明。これを原因に、主要国における特定フロンの生産は1995年末をもって廃止されることが国際的に合意されました※。そして、その代替品として使用されるようになったのが「HFC(ハイドロフルオロカーボン)」です。HFCの登場により、人類はオゾン層破壊の進行を止めることに成功しました。HFCは今日でも空調用や冷凍冷蔵庫の冷媒として、そして工場における洗浄用溶剤として、私たちの暮らしや社会を支える化学品としてさまざまな用途に利用されています。
※モントリオール議定書
「HFC」のウイークポイント
HFC類がもたらす
地球温暖化への影響。
そのGWP(地球温暖化係数)は
なんとCO2の約2,000倍!

地球温暖化の要因は、CO2やメタンなど6種類の温室効果ガスの増加です。なかでもCO2は、主に石油や石炭、天然ガスなど化石燃料をエネルギー源として使用する現代において、最も大きな影響を及ぼします。特定フロンの代替品として、幅広い用途で使用されるHFC類ですが、この化学品には大きなウイークポイントがありました。それはGWP(地球温暖化係数)が極めて高いことです。そのGWPはCO2の約2,000倍※なのです。
※一般的なルームエアコン用冷媒(R410A)のGWP値は、CO2の2,090倍
「HFC」の削減計画
HFCの増加に伴い、
深刻化する地球温暖化問題。
グローバルレベルで段階的な削減計画が進展!

地球温暖化問題を踏まえて、国際社会では、先進国だけでなく途上国においてもGWPの大きいHFC類の段階的な削減を図っていくことが2016年に決定されました※。この削減計画において、先進国は2036年までに、途上国は2047年までにHFC使用量の約80%削減を目指します。国際社会では、こうした計画の達成に取り組むとともに、GWPの小さい、新たな特定フロン代替品に対する開発要請が高まっています。
※第28回モントリオール議定書締約国会議で決定された改正(キガリ改正)
※1 開発途上国であって、第2グループに属さない国
※2 インド、パキスタン、イラン、イラク、湾岸諸国
「HFO」が秘める可能性
気候変動問題への
処方箋となる
新しい化学品を探索し、
「HFO(ハイドロフルオロオレフィン)」に注目!

HFCに代わるGWPの低い新たな化学品開発への期待が世界的に高まるなか、AGCが着目したのは「HFO(ハイドロフルオロオレフィン)」でした。HFOは、HFC類に比べてGWP値が1桁と極めて小さく、製品化できれば、温室効果ガスの排出量を大きく低減させることができます。AGCでは、HFCの主用途のなかでも使用量の多い物質(HFC-134a、HFC-245fa、AK-225)をターゲットに製品開発を推進。その代替品を開発することで、大幅な温室効果ガス排出の抑制を通じて気候変動問題の解決に貢献することを目指しました。
「AMOLEA® シリーズ」の誕生
GWPの低い
低環境負荷型HFO
「AMOLEA® シリーズ」を開発!

そして2018年、AGCはHFOの工業製法を確立し、商業プラントを稼働してHFOの商業生産を開始。分子中に不飽和結合を持つ新たな代替物質としてHFOを3物質(HFO-1234yf、HFO-1224ydZ、AS-300)選定し、「AMOLEA® シリーズ」として商業販売を開始しました。
AMOLEA® シリーズは従来品と同等の沸点と安全性を保ちつつ、GWPが極めて小さいという特性を持つ化学品です。冷媒や発泡剤用途ではGWP値が従来品に比べて数百分の1以下と小さく、従来品からAMOLEA® シリーズに代替することでLCA評価による環境負荷は1/10程度に削減可能になります。これは、日本に限定しても年間1,000万トン(CO2換算排出量)以上※の温室効果ガスを削減することが期待されます。
※日本国内に供給されているHFC134aならびにHFC245faがすべてAGCのHFO製品群(AMOLEA® 1234yf、AMOLEA® 1224yd)に切り替わった場合