課題解決事例

化学物質を抑えた、より安心・安全な難燃剤を開発したい!
社会的なニーズに応える自然由来の原料とは

建材メーカーB社
商品開発部

背景

古民家や住宅密集地帯で火災が発生した場合、建物同士の距離が近いため、被害が広範囲に渡るケースがたびたび発生している。外壁材の開発・製造を手がけるB社では、延焼抑制効果に優れ、ユーザーがより安心できる難燃塗料の開発に取り組んでいた。

課題

脱リン系難燃剤の開発を模索するも、満足のいく素材がなく・・・

木造建築に使用する建材開発においては、これまでも延焼抑制効果の高いさまざまな難燃剤が生み出され、実際の建物に使用されてきました。ただ過去には、この分野の製品に使われたハロゲン系難燃剤からダイオキシンが発生することが発覚し、社会的な問題となったこと、またリサイクル時にかかる環境負荷の大きさから使用が制限されたことなどがありました。

そうした出来事を経て現在の建築業界では、有機リン系難燃剤が主流となっています。建材メーカーB社でも、同様の商材を取り扱っていました。しかし時代が移り変わり、ユーザーの環境意識が高まる中でニーズも変化しつつありました。

商品開発部のK氏は、次のように話します。
「以前使われていたハロゲン系難燃剤と比較すると、有機リン系難燃剤は安全な製品であり、建材のコーティングに使用するうえでの大きな問題はありません。しかし一部には、化学物質そのものに強い抵抗感を示すユーザーが一定数いるのです。当社としては、そうした方々のニーズにも応えていきたいと考えました」(K氏)

B社ではユーザーの声に応えるため、また他社との差別化を図るために、現状よりさらに安全・安心かつ延焼抑制効果が高い脱リン系難燃剤の開発を模索することにしました。ただ多種多様な難燃剤を検討してみるものの、なかなか満足の行く素材が見つかりませんでした。

課題のポイント

  • さまざまな難燃剤が使用されてきたが、環境負荷が問題となった過去がある

  • 有機リン系難燃剤が主流だが、一部では化学物質への抵抗を示すユーザーもいた

  • 1

  • 2