コラム
軽くて明るく高透明な、高耐候性のフッ素樹脂ETFEフィルム「アフレックス®」
日本で唯一、膜構造用フィルムとして国土交通大臣の認定を取得
大型膜構造建築物にも国内で初めて採用された全容とは
膜構造用フィルムの「アフレックス®」という製品をご存じでしょうか?
アフレックス®は、フッ素化学で世界トップレベルの技術力を持つAGCが、原料から一貫して生産している高機能フッ素樹脂ETFEフィルムのことです。そしてこのフィルムは、日本で唯一、膜構造用の建築材料として国土交通大臣の認定を取得し、日本の建築物への使用が可能となりました。
本コラムでは、使用可能になるまでの約3年間の告示改正のストーリー、その一部をご紹介します。
国内採用の高い壁
2006年にドイツで開催されたサッカーの国際大会会場となったアリアンツアリーナ、2011年にNZで開催されたラグビーの国際大会会場となったフォーサイスバースタジアム。この世界を代表する2つのスタジアムに共通していることと言えば、軽量、透明、高耐候性に加え、曲線を描く2層クッションのパネルで構成されたユニークなデザインです。実は、どちらの建築物もAGCの高機能フッ素樹脂ETFEフィルムが採用されています。
世界では多くの建築物に使用されているETFEフィルムですが、日本での採用例は現在のところわずか数件の建物に限られています。そこには、日本ならではの厳しい法律の壁がありました。
日本でETFEフィルムを建造物に使用するためには、それらを阻む幾多のハードルが立ちふさがります。まずは、建築材料として、国土交通大臣の認定を取得し、さらに建築基準法に関連した告示を改正するように働きかけ、多くのハードルを1つ1つクリアする必要があります。そのうえで、定められた用途であれば、建築主事の許可を得て、屋根材として使用できるようになるのです。
告示改正の流れ
関連する告示がいつ、どのような内容で改正されてきたのかを表にまとめていますのでご覧ください。
改正前 | 建築材料として 未登録 |
簡易な建築物 1階建て・3000m2以内 水泳場、駐車場、スポーツ練習場 |
水泳場、スケート場 不燃性物品を取り扱う 倉庫、荷捌き場等 畜舎、堆肥舎、養豚場 |
建築物への使用に個別の大臣認定が必要 (ETFEフィルムの設計指針無し) |
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改正後 | 建築材料 「膜構造用フィルム」として登録 |
1446号登録材料は適用 (ETFEフィルム厚さ1.5mmまで) |
追加された建築物 劇場、映画館、演芸場、観覧場、公会堂、集会場 アトリウムその他の大規模な空間を通行のように供する用途 |
建築主事の許可で建築可能 (ETFEフィルム設計指針と材料規格の制定) |
今後の展開
具体的にどのような建物に使用できるかは、建築主事の判断にゆだねられます。しかし、告示改正により建築材料である『膜構造用フィルム』としてアフレックス®が認められたことで、格段に身近な材料となり、設計、デザインの新たな可能性が期待できるようになりました。
まず、従来の透明材料では実現が難しかったフィルムの柔軟性や軽さを活かした自由な発想の建物形状が可能となります。また、従来の膜材料では難しかった圧倒的な透明性により、開放的な大空間を実現。一目見ただけで行きたくなる、入りたくなる建物、スタジアムに変容できるのです。さらに、LED等の照明設備との組み合わせが可能なため、建物全体を美しく照らし出して、街の夜景に幻想的な光の演出を可能にします。
設計・デザインにかかわる方、またできあがった建築物を利用する私たち。誰もがワクワクする、新たな可能性を秘めた高機能フッ素樹脂ETFEフィルム「アフレックス®」。これからもAGCは、そのワクワクが絶えない世界を目指して、日々の開発を全力で進めていきます。
ETFEフィルムの特徴
- 明るい ─ 透明性が高く、UV(紫外線)を透過する
- 軽い ─ 重量は440g/m2と軽量(250μm厚の場合)
- 長持ち ─ 耐候性が良く、30年以上の使用実績あり
- 光演出 ─ LED照明との相性がよい
施工例写真
ETFEフィルムを使用した代表的な建築物の施工例をご紹介します。 下図4件のうち、3件は日本国内の建物です。
羽田空港第2ターミナル国際線施設(日本)
新豊洲ランニングスタジアム(日本)
フォーサイスバースタジアム(ニュージーランド)
ユニクロ心斎橋店(日本)