課題解決事例

新製品のオイルホースに、耐久テストで亀裂が・・・
オイルの添加剤によるダメージに耐えるホースが完成した理由

自動車部品メーカーC社
材料技術部

背景

C社は主にFKMを原料としたゴムホース類を製造しており、オートバイから大型輸送機器まで、車両製品を中心とした幅広い領域に部品供給を行なっていた。

課題

ホース原料のFKMの耐塩基性が低く、亀裂が・・・

C社では供給先の自動車メーカーの新モデル向けホース製品のサンプルテストを実施していたが、想定以上に亀裂が発生し、耐久性基準をどれも下回る結果となってしまった。

材料技術部が原因を調査すると、テストの基準として自動車メーカーより提示されたオイル中に含まれるアミン系添加物の含有率が、主に低粘度化要求により、従来に比べ増えていることが判った。またホースの原料として現在使用しているFKMは、ガソリンなどの耐油性には優れているが、エンジンオイルに含まれるアミン系添加物の接触には非常に弱く、ダメージを受けやすいことが判明した。

これまでは添加物成分が異なったり含有率が低かったりと問題にならなかったが、ここにきて従来原料のFKMだけでは解決できない課題が浮上してしまっているのだ。

「燃費規制に対応するため、エンジンオイル中の添加物、分けてもアミン系添加物は含有率、活性ともに従来に比べアップしています。そのためFKMの弱点である耐塩基性が際立ってしまい、開発は大きな壁にぶち当たってしまいました。アミン系添加物が、実はホースをこんなに傷めてしまうとは・・・。このままでは新しいオイルホースの製品化は難しくなってきました・・・」(Y氏)

C社としては、この時点で開発を中断することは現実的でなく、また、今回自動車メーカー側が提示した新モデル用のオイルホースには、使用部位の異なる複数のタイプがあったため、現場ではこれらのうち1つでも基準をクリアできないか、試行錯誤を重ねたが、最後は原料FKMの耐塩基性に起因すると思われる劣化が災いし、具体的な解決策を見出すに至らない状況が続いた。

課題のポイント

  • 最新のエンジンオイルにも耐久するオイルホース製品を開発したいが、原料FKMの耐塩基性が低く劣化・亀裂が発生している

  • 使用部位の異なる複数仕様のうち1仕様でもクリアさせるべく試行錯誤を重ねたが、やはりFKMの耐塩基性の低さに対する解決策は見いだせなかった

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