課題解決事例

工場のIoT化にマッチした新ケーブルの開発に、思わぬ暗雲が・・・
耐薬品、耐スチーム性の向上と、コストの問題を同時に解決したフッ素ゴムの活用法とは

非鉄金属業A社
製品開発部

背景

A社では、工場のIoT化が進む中、工場の中を這わせたりロボットなどの機器に取り付けたりする新しいケーブル被覆材を開発することになった。

課題

お客様からのリクエストは耐薬品、耐熱、耐スチーム性の向上。しかしこの分野は実績が・・・

A社では早速、プロジェクトチームを作りあらゆる環境下での利用を想定し、ケーブルを被覆する素材についてクリアすべき条件をあげることにした。お客様から上がってきたリクエストとしては、耐熱、耐スチーム性をもっと上げてほしいというものであった。ネットワークケーブル類を這わせるレールが工場の壁伝いに多く設置されているが、そこは同時に排熱にも利用されるスペースであった。一方、機器類に使われるものは、本体が高温になるものが多いため、耐熱性や電気絶縁性の要望が強かった。その他にも耐薬品性のニーズも聞かれたが、この分野のケーブル被覆材はA社では実績が少なかった。

耐熱、耐酸性の目途はついたがに見えたが、耐アルカリ性、耐スチーム性、電気絶縁性の壁が・・・

使用される場所や状況が明らかになり、プロジェクトは順調に進んでいるかに見えた。しかし部材選定のところでプロジェクトはとん挫してしまった。この時の状況を、メンバーのK氏は次のように語った。

「耐熱や耐薬品性を考えた場合、被覆材にはフッ素ゴム(FKM)が良いのではという意見がありました。しかし、FKMは酸性薬品には強いがアルカリにきわめて脆弱でした。また耐スチーム性や電気絶縁性も良好ではなかった」

その他、コストのことも気になっていたが、A社では今までシリコンゴムをメインで使用していたため、情報が少なく解決策をなかなか見つけ出せなかった。

課題のポイント

  • 耐熱、耐スチームに加えて耐薬品性、電気絶縁性に優れた、現場に強いケーブル被覆材を開発したいが、この分野の実績が少なかった

  • フッ素ゴム(FKM)の使用を考えたが、すべての課題を解決することができない

  • 今までシリコンゴムをメインで使用していたため、情報が少なく解決策が見つけ出せない

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