AsahiGuard E-SERIES ™の概要・特長

フッ素系撥水撥油加工剤の特長

液体をはじくという性質は固体表面の表面張力が液体の表面張力より低い場合に発現します。(*図参照)パーフルオロアルキル基(Rf基)はとても低い表面張力を有する物質で、Rf基を表面に加工した固体は水、コーヒー、ミルクといった水溶性の液体のみならず、油、アルコール、ガソリンといった浸透性の高い液体もはじき飛ばすことができます。また耐久性にも優れており他のワックス系、シリコーン系撥水撥油剤と比較してワンランク上の加工剤と位置づけられます。

AsahiGuard E-SERIES ™の一般的な化学構造

パーフルオロアルキル基(Rf基)はとても低い表面張力を有する物質です。Rf基を有しているAsahiGuard E-SERIES ™が表面に加工された固体は水、コーヒー、ミルクといった水溶性の液体のみならず、油、アルコール、ガソリンといった浸透性の高い液体もはじきます。

撥水撥油(耐油)の機能紹介

AsahiGuard E-SERIES ™を加工した布と未加工の布で、その撥水性の試験、同じくAsahiGuard E-SERIES ™で加工した紙の船と未加工の紙の船で、その耐油性を試験しました。AsahiGuard E-SERIES ™の撥水撥油性能のメカニズムについてご説明します。

SR(Stain Release)性の機能紹介

AsahiGuard E-SERIES ™には洗濯のときに付着した汚れを落としやすくできるSR(Stain Release)性を備えた品種も取り揃えております。
AsahiGuard E-SERIES ™を加工した布と未加工の布で、そのSR性を試験しました。AsahiGuard E-SERIES ™のSR性能のメカニズムについてご説明します。

すぐれた防汚性

AsahiGuard E-SERIES ™は各種繊維に対し優れたはっ水性とはつ油性を付与するため、防汚性(汚れ付着防止性)にすぐれています。水、コーヒー、ワイン、ミルクといった水溶性の液体のみならず、油、アルコール、ガソリンといった浸透性の高い液体の付着も防ぎます。

食品パッケージ用のAsahiGuard E-SERIES ™

食品包装用途に優れた紙の対応性を広げる 紙用耐油加工剤です。環境に優しい製品を求めるお客様のご要望にお応えするべく開発した、優れた耐油性能と低環境負荷を両立した製品です。
紙本来の外観、通気性を損なうことなく、優れた耐油性および耐水性を紙、板紙に付与することが可能で、その耐油紙は菓子類、乳製品、惣菜、冷凍食品、ファーストフードやペットフードなどの油脂類を含んだ食品、製品の包装用途に適しています。

1. すぐれた耐油性

他のフッ素以外の耐油加工剤に比べ、フッ素の力で少ない使用量で耐油性を付与することが可能です。

2. 罫線、端面でも油がしみにくく、ピンホールが出にくい

フッ素系耐油紙では、処理した紙は紙の内部の繊維、一本、一本まで加工剤で処理されているので、ラミネートやコーティングの弱点であった「罫線」や「端面」に対しても高い耐油性を与えることができます。また、”穴埋め”する物理的コーディングではないのでピンホールによる欠点が出にくい耐油紙です。

3. 耐熱性が良好、高温でも使用可能

一般的な耐熱温度が130℃程であるPE,PP などの樹脂コーティングやPSP に比べてAsahiGuard E-SERIES ™で加工された耐油紙は耐熱性があり、加熱用途での食品接触物質として登録されている※ので130℃以上でも使用可能です。

※ドイツ BfR XXXVI/2 Paper and paper board for baking purposes = 加熱用との紙、板紙用食品接触物質に登録されています。 食品衛生法[合成樹脂一般規格 使用温度100℃を超える]規格に適合しています。

4. 電子レンジサセプター加熱包装向けの使用が可能

高温での性能が良好であり、かつ米国FDAにおいて電子レンジサセプター加熱包装向けに登録されているので、電子レンジ調理ポップコーンやピザなどの包装に使用が可能です。

5. 紙本来の特長である、通気性及び紙本来の風合いを保ち、製袋性・充填性にも優れる。

AsahiGuard E-SERIES ™で加工された耐油紙は、油、(水)は通さず、気体、蒸気を通しますので、ファストフード、惣菜など出来立ての食品を包装しても蒸れにくく、中身(食品)がふやけません。
また板紙などの容器でも蒸気が結露することを防ぎ包材の形が崩れることを防ぎます。

6. すぐれた離型性

AsahiGuard E-SERIES ™で加工された耐油紙は、フッ素の力によって離型性も付与されます。食品の付着防止や離型紙などへの応用が可能です。

7. 印刷適性、接着適性

AsahiGuard E-SERIES ™で加工された耐油紙は、後加工での印刷適性や接着適性にもすぐれております。

8. 環境やリサイクルに貢献

ラミネート加工などをはずすことで通常の紙と同様にリサイクルすることが可能になります。過剰包装を減らしコストを削減した直詰めにすることが可能です。高い耐油性(ピンホールに強く、折り目に強い)を活かして従来のラミネートやアクリルでの加工が不要となります。

環境対応

アサヒガードは1971年の発売以来、永年の実績と、世界30カ国以上のお客様の支持を得て、さまざまな分野に拡大、そして性能の改善を進めてまいりました。
また、環境ホルモン(APEO)や低揮発成分不純物の低減などにも取り組んでまいりました。
しかし近年、従来より使われてきたフッ素系撥水撥油剤にごく微量含まれる長鎖パーフルオロアルキル化合物(長鎖PFAS*)の一つであるPFOA(炭素数=8)などの化学物質が環境に対する新たな懸念として問題となってきました。
AGCではこれまでの経験と実績を活かし、“性能と安全性を両立する化合物の炭素数=6のカルボン酸”という解を導き出し、2006年に短鎖パーフルオロアルキル化合物(短鎖PFAS*)をベースとしたAsahiGuard E-SERIES ™として皆様にご提案させていただきました。
AGC化学品カンパニーでは「化学の力を通じて安全・安心・快適で環境に優しい世の中を創造する」ことを私たちの使命と考え、製品開発に当たっては常に環境問題を意識しています。AsahiGuard E-SERIES ™の開発はその一例で、製品原料となるモノマー開発の段階から安全性の検証を実施しています。
* PFASとはPFOA、PFOS等のパーフルオロアルキル化合物の総称のことを言い、長鎖PFASとは、炭素数8以上のパーフルオロカルボン酸もしくは、炭素数6以上のパーフルオロスルホン酸を、短鎖PFASとは、炭素数6以下のパーフルオロカルボン酸もしくは、炭素数4以下のパーフルオロスルホン酸をそれぞれ意味します。
(経済協力開発機構(OECD)の定義による)

PFOA対応

AsahiGuard E-SERIES ™開発の原点は「豊かな生活・利便性の維持と低環境負荷の両立」でした。人類の社会活動の進展と共に、生活を豊かにするさまざまなものが発明され、世の中に供給されてきましたが、昨今、人類が良かれと思って作り出したものが、意図しない悪影響を環境に対して及ぼすケースも見られてきました。よく知られた例として、フロンガスのオゾン層破壊があります。従来型のフッ素系撥水撥油剤にごく微量の不純物として含まれている長鎖PFASであるPFOAは環境や人体への影響が懸念されている物質のひとつであり、2020年の欧州でのREACH規制が予定されています。しかし私たちは、より環境負荷の低い製品の提供を目指して、短鎖PFASをベースとしたAsahiGuard E-SERIES ™を開発、2006年より専用プラントで生産開始、発売いたしました。

Perfluorohexanoic acid (PFHxA) に関する文献

1PHARMACOKINETIC (IN BLOOD) AND EXCRETION STUDY OF
PERFLUOROHEXANOIC ACID AND NONAFLUORO-1-BUTANESULFONIC
ACID IN RATS, WIL Research Laboratories, LLC (WIL-534004) (October 17, 2005).
2A PHARMACOKINETIC (IN BLOOD) AND EXCRETION STUDY IN
CYNOMOLGUS MONKEYS, WIL Research Laboratories, LLC (WIL-534002)
(September 2, 2005).
3A COMBINED 28-DAY REPEATED DOSE ORAL TOXICITY STUDY WITH
REPRODUCTION/ DEVELOPMENTAL TOXICITY SCREENING TEST OF
PERFLUOROHEXANOIC ACID AND 1H, 1H, 2H, 2H-TRIDECAFLUORO-1-OCTANOL
IN RATS, WITH RECOVERY , WIL Research Laboratories, LLC (September 2, 2005).
4PFHA: ACUTE TOXICITY TO DAPHNIA MAGNA, Safepharm Laboratories, Ltd.
(December 16, 2004).
5PFHA: ACUTE TOXICITY TO RAINBOW TROUT (ONCORHYNCUS MYKISS),
Safepharm Laboratories, Ltd. (December 17, 2004).
6PFHA: ALGAL INHIBITION TEST, Safepharm Laboratories, Ltd.
(December 16, 2004).
7LinkMartin J., Mabury S. et al. BIOCONCENTRATION AND TISSUE DISTRIBUTION OF
PERFLUORINATED ACIDS IN RAINBOW TROUT (ONCORHYNCUS MYKISS), Env.
Toxicology and Chemistry vol. 22, No. 1, pp. 196-204.
8Link (Note)A 90-DAY REPEATED DOSE ORAL (GAVAGE) TOXICITY STUDY OF
PERFLUOROHEXANOIC ACID (PFHxA) IN RATS (WITH FUNCTIONAL
OBSERVATIONAL BATTERY AND MOTOR ACTIVITY DETERMINATIONS),
WIL Research Laboratories, LLC (WIL-534003), February 8, 2006.
9A REPRODUCTION STUDY WITH THE NORTHERN BOBWHITE,
Wildlife International, Ltd. Project No. 632-102 (September 2010)
10A 24-MONTH ORAL (GAVAGE) COMBINED CHRONIC CARCINOGENICITY STUDY OF
PERFLUOROHEXANOIC ACID (PFHxA) IN RATS, WIL Research Laboratories, LLC (WIL-534009),
(November 19, 2010).
11A SINGLE (ORAL GAVAGE) DOSE TOXICOKINETIC STUDY OF NaPFHx IN RATS AND MICE,
WIL Research Laboratories, LLC (WIL-534022), (November 28, 2012).

(Note) 出典:The journal Reproductive Toxicology, Volume 27, Issues 3–4, June 2009, Pages 342–351 (Chengelis C., et al., “A 90-day repeated dose oral (gavage) toxicity study of perfluorohexanoic acid (PFHxA) in rats (with functional observational battery and motor activity determinations”).

6-2 alcohol に関する文献

1C6-2AL: ACUTE TOXICITY TO DAPHNIA MAGNA, Safepharm Laboratories, Ltd.
(January 24, 2005).
2C6-2AL: ACUTE TOXICITY TO RAINBOW TROUT, Safepharm Laboratories, Ltd.
(June 8, 2005).
3C6-2AL: ALGAL INHIBITION TEST, Safepharm Laboratories, Ltd.
(October 5, 2005).
4BIOCONCENTRATION STUDY OF C6-2 ALCOHOL IN CARP, Kurume Laboratory
(January 31, 2002).
5A COMBINED 28-DAY REPEATED DOSE ORAL TOXICITY STUDY WITH
REPRODUCTION/ DEVELOPMENTAL TOXICITY SCREENING TEST OF
PERFLUOROHEXANOIC ACID AND 1H, 1H, 2H, 2H-TRIDECAFLUORO-1-OCTANOL
IN RATS, WITH RECOVERY , WIL Research Laboratories, LLC (September 2, 2005).
6C6-2AL: ACUTE TOXICITY IN THE RAT, Safepharm Laboratories, Ltd. (July 4, 2002).
7C6-2AL: REVERSE MUTATION ASSAY “AMES TEST” USING SALMONELLA
TYPHIMURIUM AND ESCHERICHIA COLI, Safepharm Laboratories, Ltd. (July 4, 202).
8GENE MUTATION TEST AT THE TK-LOCUS OF L5178Y CELLS WITH
3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-TRIDECAFLUOROOCTANOL (TNO No. 6203/14)
9CHROMOSOME ABERRATION TEST WITH 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-
TRIDECAFLUOROOCTANOL IN CULTURED CHINESE HAMSTER OVARY (CHO) CELLS
(TNO NO. 6202/18)
10UNSCHEDULED DNA SYNTHESIS TEST WITH 3,3,4,4,5,5,6,6,7,7,8,8,8-
TRIDECAFLUOROOCTANOL (C6AL) IN RAT LIVER HEPATOCYTES
(TNO NO. 6657/02)

各国での化学物質としての認証登録

各国における化学物質としての登録状況は日本はもちろんのこと、米国や欧州連合諸国、アジアなど世界の主な国、地域での登録を進めております。くわしくは弊社までお問い合わせください。

繊維関係の認証→bluesign® standard

AGCはbluesign® standardのサポートメンバーです。AGCは日本企業としては初めてbluesign® standardのサポートメンバー(Supporter)として認められました。bluesign® standardは、環境、健康、安全(EHS)の全ての面においてソリューションを提供すべく設計された業界標準です。このアプローチ方法の強みは、関係者が連帯して環境への負荷を削減し、健全で責任ある繊維業界を育てていくために、原材料供給メーカーから、繊維製造メーカー、小売企業、アパレルブランドまでを関連付ける点です。

詳細情報(英文)www.bluesign.com

食品パッケージ用のAsahiGuard E-SERIES ™の認証

食品パッケージ用のAsahiGuard E-SERIES ™では国内の食品衛生法厚生省告示第370号(第20号)関連のみならず、米国FDAや欧州BfRなど、様々な食品接触に関する規格に対応しております。詳しくは弊社までお問い合わせください。

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